2019年(平成31年)ブログ

2019.03.04

「大崎上島フォーラム」に参加しました

 

2019年3月4日(土)、大崎上島町役場2階ホールで開催された「大崎上島フォーラム―大崎上島の漁港・漁場再生とにぎわい創出に向けて―」(フォーラム事務局:一般社団法人大阪湾環境再生研究・国際人材育成コンソーシアム・コア(CIFER・コア))に参加しました。パネルディスカッションには、本協議会の上嶋理事長もコーディネーターとして参加し、掘り下げた議論が行われました。また、1月の「エコツーリズムフォーラム2019」にご登壇いただいた東京海洋大学 中泉昌光特任教授も本フォーラムでコメンテーターを務められ、「渚泊(なぎさはく、漁村地域における滞在型旅行)」の可能性についてお話下さいました。

漁協関係者、町役場、環境修復技術保有企業が参加した地域密着型のフォーラムでは、技術や経験に基づいた具体的な議論が交わされ、大変実り多いものとなりました。

 


◆ プログラム ◆ (敬称略)

開会あいさつ 

 高田幸典 (大崎上島町長)

 

平成30年度の業務報告と今後の予定

 CIFER・コア事務局

 

パネルディスカッション

 コーディネーター

  上嶋英機  (広島工業大学客員教授、CIIFER・コア理事長)

 コメンテーター

  中泉昌光  (東京海洋大学特任教授)

パネリスト(五十音順)

  安藤 亘  (株式会社海中景観研究所専務取締役)

  奥本裕正  (大崎内浦漁業協同組合専務理事)

  富田 宏  (株式会社漁村計画代表取締役)

  三浦智恵美 (広島工業大学教授)

  柳川 健  (広島県立総合技術研究所水産海洋技術センター次長兼技術支援部長)

  横山隆司  (CIFER・コア理事)

 

 

  

                                                    記:田中秀宜

 


2019/1/26

第8回エコツーリズムフォーラム2019
~瀬戸内海島嶼部の地域活性化に向けたエコツーリズムの戦略と役割~

島嶼部の無人島化を防ぐ「豊かな瀬戸内海」に向けた取り組み 

 

 1月26日(土)、「第8回エコツーリズムフォーラム2019 ~瀬戸内海島嶼部の活性化に向けたエコツーリズムの戦略と役割~」を広島平和公園 国際会議場にて開催し、80名を超える方々にご参加いただきました。

 

 今回のフォーラム開催趣旨は、以下の通りです。

**趣 旨********************************************************

 瀬戸内海では平成27年10月2日に瀬戸内法が改正され、「豊かな瀬戸内海」を目指して生態系の保全と、美しい景観の保全に向けた取り組みを行う事が定められ、自然景観と文化的景観の保全のため「エコツーリズムの推進」が明記されました。

 一方、瀬戸内海の島嶼部は限界を超えた「超過疎化」に陥り、無人島化が進んでいます。このため、歴史や伝統文化が消滅し、自然環境の管理も不可能となっています。

 「第8回エコツーリズムフォーラム2019」では、瀬戸内海の自然景観や文化的景観を支えている環境資源を守りつつ活用するため、人材投入と新観光産業により島嶼部の地域活性化を促進して無人島化を防ぎ、「豊かな瀬戸内海」に向けた取り組みを可能とするエコツーリズムの戦略と役割について考えていきたいと思います。

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基調講演では、国立大学法人 東京海洋大学 先端科学技術研究センター 漁業地域再生プロジェクト 特任教授 中泉昌光様(写真左)にご登壇いただき、『島の漁村の活性化』をテーマに、交流からうまれる滞在型観光「渚泊(なぎさはく、漁村地域における滞在型旅行)」の可能性について、現状・取り組み方・運用等、事例を交えながら包括的にお話しいただきました。漁村の地元料理、素晴らしい景色、伝統的な漁業法等、インバウンドの視点から瀬戸内においてもエコツアーにいかせる要素が多くあることをあらためて知ることができました。

 

続いて、当協議会の上嶋英機会長が、平成30年度の瀬戸内ツーリズム推進協議会の活動報告を行いました。


 

第2部のパネルディスカッションでは、「瀬戸内海島嶼部の活性化に向けたエコツーリズムの戦略と役割」をテーマに、エコツーリズム、島の無人島化、漁港のなりわい、人材育成、広域連携をキーワードとした総合討論を行いました。

コメンテーター、パネリストには、以下の皆様をお迎えし、上嶋会長のコーディネートで「これからの瀬戸内はどうあるべきか」について活発な議論が展開されました。パネリストの皆様からは、持続可能な社会を目指し地域を活性化させていくための、連携体制、地域の人々の意識のあり方、ブランディングの重要性等について、ご意見をいただきました。

 

 コメンテーター       中泉昌光 国立大学法人 東京海洋大学 特任教授

 パネリスト(写真左から)  前田敏幸 NPO法人おぢかアイランドツーリズム協会 理事長

               常冨   豊 環境省 中国四国地方環境事務所 統括自然保護企画官

               豊田   歩 忽那諸島 地域ガイド

               井本喜久 株式会社 The CAMPus BASE 代表             (敬称略)

 



 

最後に、お忙しい中、会場に足をお運び頂いた参加者及びご登壇の皆様、本フォーラムを開催するにあたって様々なご支援を頂きました関係者の皆様には、この場をお借りしまして改めてお礼申し上げます。

 

 今後とも、当協議会の活動にご理解・ご協力の程、お願い申し上げます。

 

                                                        谷本理恵子

 


2019/1/16

第3回  エコ塾を開催しました

 

2019年1月16日、学校法人ひらた学園IWAD環境福祉リハビリ専門学校において、第3回エコ塾を開催しました。今回は、昨年秋から3回シリーズで開催してきた「エコ塾」の最終回となりました。

 

講師には、当協議会の上嶋英機理事長と、ひろしま通訳・ガイド協会理事の畝崎雅子様をお迎えし、瀬戸内海地域でも増加が予想されるインバウンド・ツーリストの受け入れについて、どのように対応していくべきか、エコツーリズムにはどのような可能性があるかについてお話しいただきました。

 

講演の概要は以下の通りです。

 

  

  講師:上嶋英機((一社)瀬戸内海エコツーリズム協議会理事長)

  内容:「エコツーリズム概論」

 

「近年、ますます耳にする機会が多くなった「インバウンド」。インバウンドとは、外国の人々に、自然や文化、驚きや感動を、教科書的でない世界観の中で楽しく伝えていくことだと考えている。そのために必要とされるのが「インタープリター」であり、今後日本においてもますますの育成が望まれる。現在、マスツーリズムに代わって個人志向の観光が増えつつあり、「保全に責任を持つ観光」であるエコツーリズムにも、インバウンドにおける大きな可能性が見えている。


 

エコツーリズムのインタープリターには自然・歴史・文化等の中から「得意分野の達人」になり、他分野の達人とともに、ボランティアではなく「なりわい」としての活動をしてほしい。なりわい化を含め、エコツーリズムに関わるしくみについては、英国のナショナル・トラストやフランスの沿岸保全整備機構(CdL)等、海外の機関に学べることが多くある。コンテンツについても然りであり、ナショナル・トラストによる年間プログラム等、海外の事例は大いに参考になる。特別な観光の目玉がない場所であっても、「生物多様性」や「自然資源の保全と持続可能な利用」「歴史・文化の継承」等の視点を持ってサイトを見ることで、エコツーリズムのツアー・コンテンツを作ることが可能となるのである。こうしたエコツアーを俯瞰で把握するのが「コーディネーター」であり、エコツアーの企画・運営において、関係者全体の調整、サイトの把握、準備や管理など、欠かすことのできない役割を担っている。インバウンドとエコツーリズムとを考えるとき、こうした人材の育成が必須であり、実践的な訓練の実施がすぐにも実施されねばならない。瀬戸内の島嶼部において無人島化が進行しつつあり、漁業・農業の衰退、文化の継承途絶、里山・里海の放置による自然環境の荒廃が危惧される現在、これらの問題に歯止めをかけるためにも、エコツーリズムの視点から迅速な対応が必要である。」

 


 

 

  講師:畝崎雅子(ひろしま通訳・ガイド協会理事)

  内容:「瀬戸内海のインバウンドの受入れについて」

 

「1992年-これは私が通訳案内士となった年だが―そのときの宮島は「ダメダメ」な観光スポットだったのである。お決まりの観光コースをたどり、おみやげを買うといった画一的な観光で陰りをみせていた宮島は、1996年に世界遺産となるまで「観光の多様性」が見られなかったのだ。宮島の素晴らしさを伝えるにはどうすればよいのか? 当時の私は「欧米豪のツーリストにアピールすることが重要」だと提言した。


 

欧米豪のツーリストは「全体像」を見ている。例えば宮島も、彼らは「世界遺産だから」見るのではない。牡蠣いかだ、それを育む瀬戸内海等々、全体を見ている-日本の自然が好きなのだ。私は地元商店街の方々に訴えたー「客引きをやめてトイレを洋式にしてください。そうすれば、海外のお客さんだけじゃない、日本のお客さんも100倍ついてきますよ!」と。最初は乗り気でなかった商店街の方々も、これで心を動かしてくれたのだ。翻って現在、瀬戸内海は欧米豪のツーリストにどうとらえられているか? 2019年1月9日のニューヨーク・タイムズの記事がその答えだ。「瀬戸内」は「52 Places to Go in 2019(2019年 52の行くべき場所)」に日本で唯一選ばれたのだ。この記事の中で瀬戸内は「芸術と自然が調和する地」として紹介されている。

では、観光スポットを知ってもらうためには何が有効か? 今回のニューヨーク・タイムズのように、大メディアに取り上げられることは大いにアドバンテージになる。影響力の大きな口コミサイト「トリップアドバイザー」に取り上げられるのもポイントが高い。そして、効果的な集客を目指すには、富裕層にアピールすることが重要だ。島嶼部であっても、東京に負けないアメニティがあれば関心は高まる。例えば大崎上島には「清風館」というホテルがあるが、こうしたシンボル的な場所が存在することで、B&Bやゲストハウスも生まれてくるのだ。また、エコツアーを実施する上では、責任をもって管理されている場所を観光資源にしていくべきである。宮島のシカや、長野の野猿公園のサルは適正な管理が行われている好事例である。

前出の「トリップアドバイザー」において、厳島神社と広島平和記念公園は2011年以来上位にランキングされており、広島の人気の高さが示されているが、観光地としての広島の価値が高まったのは、専門性の高いガイドが果たしてきた役割が大きい。すなわち、人材の重要性である。もうひとつ、集客に重要なのがホームページである。写真が多く、わかりやすく、適正な内容と量の情報が、多言語で掲載されていること。「アクアネット広島 ひろしま世界遺産航路」「Satoyama Experience(飛騨高山)」は海外ゲストにも好評のサイトである。

では、ツアー・コンテンツについてはどうか。海外ゲストから高い評価を得ているSatoyama Experience(飛騨高山)が提供するエコツアー・プログラムは、里山の中をサイクリングし、稲穂を見て、小川のせせらぎを聞くというものだ。日本人にとってのありふれた場所こそ、彼らにとっては素晴らしい場所なのである。こうしたことをヒントにコンテンツを考えるなら、2泊3日を目指してほしい。瀬戸内には宮島だけでなく、大崎上島、周防大島、江田島、とびしま海道など、素晴らしいサイトが数多くある。そして、一時的なブームではなく、地道にツアーを実施していくこと。そのためには、地形の成り立ち、動植物、歴史文化、注目すべき場所など、プランニング側は様々なことを学ばねばならない。そして、こうしてできたコンテンツを、愛情をもってツーリストに伝えること。そうすれば、企画側とインバウンド・ツーリストの2者間における「win-win」にとどまらず、地域の人々にも喜んでいただける「三方よし(売り手=企画側よし・買い手=ツーリストよし・世間=地域社会よし)」の関係が構築できるだろう。」

 

                                                    谷本理恵子