2016年(平成28年)ブログ

2016/12/10-11

防予諸島エコツアー ~防予諸島の自然と歴史・文化を体感するエコツアー~

 

 2016年12月10日、11日に防予諸島エコツアーを実施しました。

今回は12月の開催となり寒さが懸念されましたが、当日の天気は晴れで風も弱く最高のエコツアー日和となりました。

 

 柳井港に集合し、バスに乗り込みいざ出発~‼

 最初のアクティビティーは、“久賀~前島間のスナメリウォッチング”です。前回のエコツアーでは見ることができなかったので、今回は見れることを願っていたのですが、残念ながら参加者の皆様は見ることができませんでした。スナメリは現れたのですが、参加者が見ている逆方向で現れてしまい、参加者もがっかりした様子でした。自然を相手にしているエコツアーではしょうがないことです。参加者に見て感動して頂きたかったのが本音ですが、スナメリが見えないのもエコツアーです。次回に期待です。

 

 

 

 

午後からは“ニホンアワサンゴウォッチング”、“古道・往還道トレッキング”のアクティビティーを行いました。

 “ニホンアワサンゴウォッチング”ではダイバーさんに水中カメラとマイクを持って海に入ってもらい実際の状況をリアルタイムで見ていただきました。アワサンゴの様子やその周りの環境を見ることができ参加者はとても満足しておられました。

 

 

 

 

古道・往還道トレッキング”では、地元のガイドに地家室から外入を結ぶ往還道の歴史・文化について教えて頂きました。締め括りは、“夕日の丘”で瀬戸内海に沈む夕日を鑑賞しました。瀬戸内海の多島美に沈む夕日は絶景です。

 

 

 

2日目は“大水無瀬島の無人島体験”を行いました。

 お出迎えは野生のサルです。

 大水無瀬島は50年前から無人島となり、トレッキングをしていると昔家があったであろう場所に井戸の跡や神社跡などが残っていました。昔の様子など地元ガイドの説明を真剣に聞いておられました。

普段行けない無人島での体験に非常に満足されておりました。

 

 

 最後は柳井港までのクルージングです。途中、八島、平郡島の自然景観を堪能し無事柳井港に帰港しました。

 

 今回も無事事故もなくツアーを終えることができました。参加者のたくさんの笑顔を見る事ができたこと、無事にツアーを終えることができ、事務局としては満足しております。

詳細内容はツアーの活動報告にて掲載していきますので、またご確認ください。

 

また2月上旬にはエコツーリズムフォーラムを予定しております。

情報はホームページに公開していきますので、ご確認ください。

 

事務局 藤元彰士

 


2016/11/27

宮島エコツアー ~宮島の森と海岸と塩性湿地の生物観察~

 

 広島大学地理科学学会のエクスカーションとして、11月27日に宮島の森と海岸と塩性湿地の生物観察をテーマに宮島エコツアーを実施致しました。

 今回は、観光地化された厳島神社を中心とした地域だけでなく、神の島宮島全体を理解し、歴史文化と共に残されてきた自然環境の保全と利用について考えて頂くため、以下のプログラムで行いました。

① 船を使って宮島を一周するエコツアー体験。

② 船でしか入れない場所に上陸し、潮間帯や塩性湿地の生物観察や陸地側の自然観察、漂着ごみ観察、簡単なトレッキングなどを体験。

参加された方は、20代から60代まで幅広い年齢層の方々でした。

 

 天候はあいにくの雨でしたが、これもエコツアーの醍醐味です。今回もマリーナホップから乗船し、広島湾を周遊しながら宮島へ向かいました。

 

 宮島到着後は、早速蓬莱島にある杉之浦神社から七浦巡りをスタート。今回使用した船は背が低かったため、視線が水面と非常に近い位置にあり、普段とは違う景観を楽しんでもらうことができ、興味深く、また、神聖な神社に手を合せながら七浦巡りを堪能されておりました。

 

 七浦巡りの途中で腰細浦に上陸し、塩性湿地の観察。何故ここに塩性湿地が存在するのか?地形的、化学的な観点などから自然環境の変遷を感じて頂けたのではないでしょうか。

 潮間帯生物の観察では、そこに生息する潮間帯生物によって、水質環境の診断ができます。初めは皆さん、潮間帯生物を見つけるのに一苦労されておりましたが、時間とともに慣れ、多くの種を確認できたかと思います。

 

塩性湿地見学

潮間帯生物観察


 

 

 2番目の上陸ポイントは、青海苔浦です。青海苔浦では、干潟や海岸性植物の観察やトレッキングを行いました。晩秋であり、気温も低いため、残念ながらハクセンシオマネキを確認することはできませんでしたが、その生息環境をじっくり観察して頂けたかと思います。また、トレッキング。宮島を訪れても行くことがないコースでしたので、非常に満足されておりました。

生物観察

トレッキング


 

 

 再び、七浦巡りに戻り、できる限り船を海岸に近づけながら、フィナーレは厳島神社の大鳥居。船長の豆知識によると、大鳥居の前で反時計回りに3回回転すると御利益があるとのことで、船を3度旋回して頂きました。

 

 今回も参加者の方々には満足して頂くことができたかと思います。

 

事務局 富田 智

 


 

2016/10/8-9

安芸灘諸島観光DMOへの試行ツアーの開催!

 


 今年も、10月8日~10月9日の1泊2日で、広島県の瀬戸内海に浮かぶ安芸灘諸島をフィールドとしたエコツアーを開催しました。今回のテーマは、「地域着地型観光DMO(Destination management/Marketing Organization)」をキーワードとして、安芸灘諸島の観光コンテンツを自らが体験し、島外からの観光客のニーズをどのように満足させることができるか?また、島内のお宝情報をどのように発掘し、発信していけば良いか?などを考えながらのエコツアーとしました。
 この安芸灘諸島エコツアーは、例年“エコ塾”と称して、座学による講義型学習をツアーに組み込んでおりますが、今回は、特別講演会として、ツアー参加者以外の興味のある方々にもご参加いただき、2本の講演を企画致しました。
 まずは、当協議会の上嶋理事長により“エコツーリズム概論及び地域着地型観光(DMO)”の基本的な理解を深める話を、瀬戸内海全体の自然・文化・歴史等を織り交ぜながら致しました。参加者もエコツーリズムに興味のある方々の聴講とあって、熱心にメモを取りながら話に傾聴されていました。


エコ塾の様子

 

 2本目の特別講演では、弓削島(愛媛県北東部に位置し、しまなみ海道に隣接する島)で長年ご活躍されている㈱しまの会社代表取締役の村上律子様をお招きし、“弓削島の地域着地型観光(DMO)”と題してお話を頂きました。村上様曰く、「旧弓削町役場で働かれていた経験から、島民の方々から様々な相談に乗っているうちに、気が付けば島内の地域活性化に繋がっていく活動になっていった。」と言うことでした。島内の女性を中心としたネットワークを構築しながら、自然環境や文化歴史の把握・地元産の食材を活かしたカフェの経営・地産商品開発などを幅広く展開され、失敗談や愚痴も織り交ぜながら本音で活動をご紹介いただきました。

 


特別講演の様子


 特別講演会の後は、エコツアー参加者と共に、大崎下島の大長へ移動し、“大長みかん”で栄えた地域の歴史や栽培方法の変換などを学びながら、かつて、みかん栽培で財を成した農家の方々が建てた“みかん御殿”が現存する集落を散策しました。


大長街並み散策の様子


 この地域の産業は、みかんやレモン栽培の一次産業が中心です。農家の方に畑をご案内頂き、実際にみかん刈りを体験しながら、色々な苦労話や栽培の実態をお聞きすることができました。10月上旬ということもあり、早生のみかんの収穫でしたが、見た目の青さとは裏腹に皮を剥くと橙色の果汁たっぷりのあま~いみかんに参加者全員大満足でした。


みかん狩りの様子

 エコツアー2日目は、地元の漁師にお願いし、刺し網漁の体験を行いました。本当は、タコツボ漁を望んでいたのですが、最近、タコの入りが芳しくなく、やむなく刺し網漁に変更し、仕掛けた網を引き揚げました。約300mの刺し網には、チダイ・アジ・カサゴ・クチ・舌平目など10種類程の魚が掛かっており、参加者は次々と引き上げられる魚を慣れぬ手つきで網から外す作業に夢中になって取り組んでいました。若い漁師の悩みもお聞きすることができ、昨今の瀬戸内海の漁業は担い手も減り、魚価も下がる一方の中、このような漁業体験をしながら魚料理も提供できる複合的なビジネスを模索しているとのことでした。


漁業体験様子

 この日の午後は、天候が回復し、爽やかな秋晴れが広がる蒲刈島の恋ヶ浜沖で、シーカヤックの体験を行いました。シーカヤックに乗るのが初めての参加者も多く、インストラクターに丁寧に説明を受けながら、恐る恐る漕ぎ出していきましたが、あっという間に体も慣れて、水面近くに目線を置いた感覚に夢中になって漕いでいました。五感で感じるコンテンツは、参加者の満足度も大きいようです。


シーカヤック体験様子

 エコツアー最後のコンテンツは、七国見山のトレッキングです。まだ夏の様相ながらも、秋の気配が伺えるドングリの木の実をポケット一杯になるまで集め、瀬戸内海の多島美を一望しながら気持ちのいいトレッキングとなりました。この風光明媚な瀬戸内海の風景を活用したお宝は、島外の方々にもっとPRしていかなければならないと強く感じました。


トレッキング体験の様子

 2日間を通して、参加者の方々には大変満足して頂けたかと思います。このようなエコツアーを継続的かつ常に利用していくためには、地域の多様な方々の理解と連携がベースに無ければ成り立ちません。そのためにも、コンテンツの価値を高め、観光産業としてパッケージ化していける枠組みを今後も構築していくことが大切であり、今後も協議会はサポートをしていく予定です。

 

 なお、瀬戸内海エコツーリズム協議会の今後の活動としては、周防大島のエコツアーを11月19日・20日(1泊2日)、エコツーリズムフォーラムを来年の1月末に予定しております。詳細が決まりましたらまたご紹介させて頂きます。

 

事務局 藤元彰士


2016/0716

宮島エコツアー

 

ご無沙汰しております。事務局の藤元です。

7月16日に今年度最初の宮島エコツアーを実施致しました。
今回は、広島県が主催する「宮島海岸GOMIゼロ大作戦」のイベントと同時開催致しました。

連日の悪天気が嘘のように晴れ‼ 当日は最高の天気となりました。

今回の宮島エコツアーは、マリーナホップからの乗船。広島湾を周遊しながら宮島へ。

 

宮島に着くと“七浦巡り”のスタートです。

ここで“七浦巡り”を知らない方に簡単な説明をします。
厳島の海岸は小さな岬と入江の組み合わさった形をしています。
白い砂浜は河川からの供給や花崗岩の風化物などでできており、
入江にできた砂浜や、礫浜などを“浦”と呼ばれています。

宮島では、弥山山塊を含む全島を神域とし、
自然が保全されてきたこともあり、
門前町の集落を除けば浦の地形が自然のまま維持されています。

代表的な7つの浦にはエビス社がまつられており、
船を使い浦地形を楽しみながら
七浦エビスを参拝する七浦めぐりが行われてきました。

第一拝所は「杉ノ浦神社」です。
今回は杉ノ浦では上陸せず船からのお参りしました。
参加者は思い思いに“二礼・二拍手・一礼”を行っていました。

 

その後、「鷹ノ巣浦神社」、「腰細浦神社」と巡り、

腰細浦へ上陸しました。
腰細浦では“漂着ゴミの観察・清掃”と
潮間帯生物(潮の満ち引きでみられる生物)の観察・マッピングをしてもらいました。

はじめにどんな漂着ゴミがあるのか観察しながら回収してもらい、
そのゴミがどうしてここにあるのかを考えてもらいました。
参加者全員、ゴミ袋が一杯になるまでゴミを回収していました。

 

その後、潮間帯生物の観察を行いました。
生息環境を説明しながら、

オオヘビガイ、
ヒザラガイ、
マガキ、スガイ、
イシダタミガイ、
カメノテ等の
様々な生き物を手に触れ観察してもらいました。

 

 

昼食後は、再び乗船し、青海苔浦へ。
ここでは、「青海苔浦神社」の参拝と潮が引いた時にしか見えない
“ハクセンシオマネキ”の観察と青海苔川のトレッキングと
浜辺でスケッチをしてもらいました。

“ハクセンシオマネキ”は
人の話す声や足音で直ぐに巣穴に隠れてしまいます。
観察するときは全員息を潜め
ハクセンシオマネキが出てくるまでじっと我慢し観察しました。

 

青海苔川のトレッキングでは、

美味しい水を求め森の奥へ歩みを進めました。
宝物を探すような雰囲気の中、
上流で飲んだ水はとても美味しく感じられたことだと思います。

 

その後浜辺での自由時間では

スケッチをする人、
浜辺を歩く人、
ゴミを拾う人、
各々が好きな時間を過ごしていました。

 

さて、青海苔浦満喫し再び乗船し七浦巡りの再開。

「山白浜神社」、「須屋浦神社」、「御床浦神社」と参拝し、
最後は厳島神社の鳥居の前で記念撮影を行いました。

今回も参加者の満足した笑顔を見ることができ、
事務局としても満足しております。

 

今年も防予諸島、安芸灘諸島など
瀬戸内海の様々な場所でエコツアーを開催します。

自然や歴史・文化を体感してみたい、
学んでみたいと思っていただけた方は、
是非とも次のエコツアーにご参加いただけると幸いです。

 

記:藤元彰士


 

2016/3/26-27

南丹市美山を訪ねて

 

 今年の1月30日に開催した第5回エコツーリズムフォーラムに、パネリストとしてご登壇頂いた南丹市美山エコツーリズム推進協議会中川会長のご招待により、3月26日27日の二日間、東西に長く、京都府を南北に区切るような場所に位置する南丹市美山の里を訪ねてきました。
 瀬戸内海エコツーリズム協議会は、その名が示す通り主に瀬戸内海をエコツーリズムのフィールドとしておりますが、南丹市美山エコツーリズム協議会は、日本の農山村の原風景とも言うべき茅葺屋根の里や日本海に注ぐ由良川の源流であり、豊かな自然が息づく原生林をフィールドとして活動されています。
 お邪魔したこの日は、美山町全域が京都丹波高原国定公園に指定された認証式が開催され、春の陽気が漂う天候にも恵まれて、多くの方々が訪れていました。私達も協議会の方々とのミーティングもそこそこに、早速、国の重要伝統建造物群保存地区に指定されている“茅葺の里”で、農山村の伝統的な景観と暮らしぶりを垣間見ることができました。

 


 

 翌日は、標高959mの三国岳山麓の由良川源流域に足を踏み入れ、暖温帯林と冷温帯林の移行帯に位置する様々な天然林や冬から目覚め始めた生き物たちと接することができました。


 

 こんなお宝満載の美山ですが、昭和30年代には1万人を超えていた人口も現在は半減し、今なお毎年100人ずつ減ってしまっている少子化高齢化の問題に直面しています。瀬戸内海の島嶼部も同様、いや、それ以上の同じ問題を抱えており、それぞれの地域特性を活かしたエコツーリズムを展開しつつ、地域間連携による活性化を図ることができないか?そんな議論を道行くすがら話し合いました。(了)
                                                       記:田中 秀宜


2016/01/30

第5回 エコツーリズムフォーラム2016

 

 

 1月30日、「第5回エコツーリズムフォーラム2016 -新・瀬戸内法の具現化と活力ある島々の再生に向けて-」をリージャスひろしまハイビル21(広島市中区)にて開催し、約90名の方にご参加いただきました。

 

 

 今回のフォーラムの主旨は、以下の通りです。


**主 旨********************************************************
 瀬戸内海では昨年9月に瀬戸内法が改正され、「豊かな瀬戸内海」を目指して生態系の保全と美しい景観の保全に向けた取り組みを行う事が定められ、自然景観と文化的景観の保全のため「エコツーリズムの推進」が明記されました。
 一方、瀬戸内海の島嶼部は限界を超えた「超過疎化」に陥り、無人島化が進んでいます。このため、歴史や伝統文化が消滅し、自然環境の管理も不可能となっています。
 そこで、「第5回エコツーリズムフォーラム2016」では、過去4回のフォーラムでも提唱してきました「エコツーリズムの推進」をより一層深堀させ、瀬戸内海の自然景観や文化的景観を支えている環境資源を守りつつ活用していくために、「人材投入」や「新観光産業」など、島嶼部の地域活性化を促進していく方法論などを考えていきたいと思います。
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 基調講演では、アジアエコツーリズムネットワーク(AEN)の高山傑理事長にご登壇頂き、国際基準に準じるエコツーリズムの実践や運用改善について、アジアからの提案としてお話しいただきました。
 続いて、当協議会の上嶋英機会長が平成27年度の瀬戸内ツーリズム推進協議会の活動を報告し、今後のエコツーリズムの方向性についてご説明いたしました。
 休憩を挟み、第2部の開始直前には、公務ご多忙中の中、平口洋環境副大臣がお立ち寄りくださり、協議会の活動に対してエールを送っていただきました。

 第2部のパネルディスカッションでは、「豊かな瀬戸内海の創生を目指したエコツーリズムの推進と役割」をテーマとし、総合討論を行いました。パネリストとして、世界の視点からの提言として前述の高山理事長、自治体の視点から広島県環境県民局環境保全課の梅村幸平課長、国内のエコツーリズム先進地域からの発信として南丹市美山エコツーリズム推進協議会中川幸雄会長、地元密着で積極的な活動をされておられる循環型農業を勧める会の佐古建彦世話人にご登壇頂き、様々なお立場からのご意見をいただきました。
 全体のコーディネーターは、当協議会の上嶋英機会長が務め、今後の社会システムにおけるエコツーリズムの役割、国内のエコツーリズムを自立的活動にするためにはどうすべきか、エコツーリズムを行うにあたっての課題や問題点についてなど、エコツーリズムを推進していくための貴重な示唆が引き出されました。

 

 

 フォーラム終了後は、京橋川沿いにあるカフェにて交流会を開催し、日中の熱い討論の続きとフォーラム中には聴けなかったお話など、ディープで親密な時間を過ごさせていただきました。

 

 最後に、お忙しい中足をお運び頂いた参加者及びご登壇の皆様、本フォーラムを開催するにあたってご後援・ご尽力頂きました関係者の皆様には、この場をお借りしまして改めてお礼申し上げます。今後とも、当協議会の活動にご理解・ご協力の程、お願い申し上げます。(了)

 

記:大島 嵩弘