宮島は、広島県西部にある大野町の沖合2kmに位置する島で「日本三景」のひとつとして広く知られています。全島が国の特別史跡・特別名勝に指定されており、厳島神社(UNESCO世界遺産)やラムサール条約湿地を有しています。
宮島は、小さな岬と入江が組み合わさった形をしており、白い砂浜は河川からの砂の搬出や岬の海食によってつくられる花崗岩の風化物で形成されています。宮島では、弥山山塊を含む全島が神域とされ自然が保全されてきたこともあり、門前町の集落を除けば「浦(入り江にできた砂浜や磯浜など)」の地形が自然のまま保全されています。当エコツアーでは船を使うことで、普段簡単には行くことのできない浦地形を楽しみながら、代表的な七つの浦に祀られた七浦エビスを参拝する「七浦めぐり」を実施しています。また、腰細浦での潮間帯生物の観測、青海苔浦での汽水域の動植物観察、島内トレッキング、漂着ごみの観察・清掃、スケッチなど、様々なアクティビティも実施しています。
(アクティビティの構成や内容・航路・着船地については、ツアー開催時に決定します。)
出典「宮島本(宮島検定)」廿日市商工会議所、第三版2014
第一拝所 杉之浦神社
ご祭神は底津少童命(そこつわたつみのみこと)。
杉之浦には「世界文化遺産貢献の森林」があります。この森は、厳島神社社殿の屋根(桧皮葺)の葺き替えに必要となるヒノキの樹皮を供給するために設けられました。
第一拝所では七浦めぐりの無事達成と参拝者の安全祈願をします。
第二拝所 鷹巣浦神社
ご祭神は底筒男命(そこつつのおのみこと)。
鷹ノ巣浦に造営されましたが、1898(明治31)年、鷹ノ巣砲台建設のため入浜に遷御となりました。明治時代中期の日清戦争時は広島に大本営、呉に海軍鎮守府が設置されるなどし、鷹ノ巣浦は敵艦隊の航路となりうる場所でした。
第三拝所 腰少浦神社
ご祭神は中津少童命(なかつわたつみのみこと)。
海浜は東西方向に長さ85m、幅約50mの砂浜で、腰少浦神社は高さ1.8mの石垣に造営されています。
第四拝所 青海苔浦神社
ご祭神は中筒男命(なかつつのおのみこと)。
青海苔浦は、青海苔川の河口で、この川を遡ると陶晴賢(すえ はるかた/たかふさ)が厳島合戦に敗れて自刃した高安ヶ原があります。さらに登り尾根を越すと多々良潟に通じています。
第五拝所 山白浜神社
ご祭神は表津少童命(うわつわたつみのみこと)。
ここだけ「浜」というのは、小高い丘の上に造営されているためです。巨石で埋まっています。
第六拝所 須屋浦神社
ご祭神は上筒男命(うわつつのおのみこと)。
須屋浦神社周辺は濃い緑の照葉樹に囲まれ、ここには「須屋清水(すえのしみず)」があったといわれます。また浜辺には砂州が形成され、ハマゴウなどの塩性植物がみられます。
第七拝所 御床神社
ご祭神は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)・田心姫命(たごりひめのみこと)・湍津姫命(たぎつひめのみこと)。
伝説では、佐伯鞍職(さえきのくらもと)が厳島神社を造営するまでこの場所に仮の御殿を造り、姫神様にご辛抱いただいたと伝えられます。社殿が建てられている大きく平らな岩台には亀裂があり、この模様から厳島神社の御神紋が考案されたと言われています。
七浦めぐりの最後は、UNESCO世界遺産である厳島神社で締めくくります。
嚴島神社は遠浅の浜にあるため、干潮時には大鳥居まで歩いていけますが、満潮時には寝殿造りを取り入れた壮麗な建築様式の社殿と大鳥居が海に浮かんでいるかのように見えます。
このように潮の干満を活かした建築は、自然の姿を見つめてきたことから着想されたのではないでしょうか。
出典「宮島本(宮島検定)」廿日市商工会議所、第三版2014
腰細浦(こしぼそうら)の砂浜は、北西の腰細山(226.4m)から流れ出る川と、腰細山の南西に伸びる尾根から流れ出る川が運び出す砂で作られています。厳島海峡に流れ出る川は一般に引き潮の影響が強く、出口で南西側に押しやられることが多いのですが、腰細浦に流れ出る川は逆の東側に曲がって流出しています。浜の東側に小山(27.3m)があり、引き潮の力が緩和されるためと考えられます。
海浜は東西方向に長さ約85m、幅約50mです。
出典「宮島本(宮島検定)」廿日市商工会議所、第三版2014
青海苔浦(あおのりうら)は、宮島町に水を供給している全長3km余りの青海苔川と繋がっています。青海苔川の下流は、西は青海苔山(282.28m)、東は老主山(191.3m)の両山に囲まれており、この周辺から少し南東に流路を変え、青海苔浦に流入しています。砂州の発達により、川の出口は南の山麓に押し寄せられています。砂州の長さは約113m、幅は青海苔神社の地点で約65mです。また、青海苔浦の背後の谷は小さく、海浜の砂浜は沿岸潮流により形成されたものとみられます。
青海苔海岸の南西端には、波食の跡を残す岩が1.5mほど突き出ています。川底から3mもあり、過去には海面が少し高かったのではないかと考えられています。
青海苔浦には、ハクセンシオマネキやアラムシロガイなどが生息しています。