2015年(平成27年)ブログ

2015/11/28-29

安芸灘諸島エコツアーを開催!


 11月28日~11月29日の1泊2日で、安芸灘諸島の豊かな自然、歴史・文化に触れあう体験・学習ツアーと題して、安芸灘諸島エコツアーを開催致しました。このツアーは、毎年、島嶼部のエコ体験と“エコ塾”と称した人材育成型エコツアーを実践しています。
初日の午前は、“エコ塾”を開き、当協議会会長及び外部の講師をお呼びして、「エコツーリズム概論」・「植物からみるエコツアー」・「エコツアーのスキルについて」などの座学を行いました。エコツーリズムとは?という基本的な理解に留まらず、歴史等を交えながらの瀬戸内海で見られる植物の理解、インタープリターとしての技術習得方法についてなど、幅広い講義に参加者も熱心にメモをとりながら、講師の方々のお話を聴いておられました。


 

 午後からは、愛媛でネイチャーガイドをされているよろず体験事務所をかしやを主宰されている菊間氏に、白砂青松で有名な恋ヶ浜をフィールドとして、インタープリタ―実践体験を行ってもらいました。
まず最初のアクティビティーは、見本として見せられた石や木の実を覚え、見本と同じ「色・形・大きさ」のものをフィールドから探しだすというものでした。参加者が探し出したものを順次紹介しながら、「この石や木の実は、どこから来たのか?」「どの様な環境的背景があると思うか?」など、浜の物語を皆で考えていくことが目的でした。


 

 続いて、2人1組のチームで、恋ヶ浜で目にする漂着物や植物を用い、お弁当を作ろうというアクティビティーを行いました。用意した様々な形をした器に、創作弁当を作ります。お金を掛けずにちょっとした工夫で、発想力が試され夢中になれるアクティビティーがあるのですね。


 

 恋ヶ浜でインタープリター体験を行った後は、B&G海洋センターに移動し、水面に目線を合わせ、水との一体感や海の風や流れを体感するため、シーカヤック体験を行いました。皆さん、海面上から望む瀬戸内海の島々の美しさに、感嘆の声を上げていました。操舵がままならない方も中にはちらほらと…。


 

 県営の大浴場で今日一日の汗を流した後は、下蒲刈島から大崎下島へ移動し、本日の宿に投宿。地元の新鮮な海の幸に舌鼓を打ちながら、参加者同士交流を深めることができました。夕食後は、この島が舞台となった映画「ももへの手紙」を上映。昼間の疲れで寝落ち者続出でしたが…。

 

 2日目は、地元みかん農家の方にガイドをお願いし、“大長みかん”の歴史・栽培方法の変換などを学びながら、みかんで財を成した“みかん御殿”が現存する集落を散策しました。


 

 続いて、豊島から出港する定期船にて、斎島に向かいました。斎島は、広島の県鳥に指定された“あび”を利用したイワシ漁(あび漁)で、かつては大変栄えた島でした。しかし、環境変化によってあびがいなくなり、漁業の衰退に伴って、急激な少子高齢化が進み、現在島民は10名満たない数に激減してしまいました。ここでは、地元の方の昔の生活ぶりをお聞きした後、自由行動として、それぞれ思い思いに島の時間を過ごしてもらいました。山を越えて島の反対側に行く方・人気のない集落を歩き回る方・海岸の散策をされる方・スケッチブックを片手に島からの眺めを堪能する方など、穏やかな島の雰囲気を堪能されていました。

 


 

 最後の体験は、ガイドをお願いした農家の方のみかん畑で、栽培の苦労をお聞きしつつ、みかん狩り体験しました。急峻な斜面一面に広がるオレンジ・オレンジ・オレンジ…。「好きなだけ取りんさい。」と言う優しい言葉?に触発されて、皆、みかんをほうばりながら夢中になって袋に詰めていました。コーディネータ役の私達事務局も、皆我を忘れて。


 

 二日間の安芸灘諸島エコツアープログラムを終え、オプション的に御手洗(みたらい)という国指定の重要伝統的建造物群保存地区を散策しつつ、農協の会議室を借りて“ふりかえり”の時間を設けました。島のお宝の再発見、瀬戸内海の島嶼部が抱える課題認識、歴史文化の成り立ちなど、参加者各々心期すものがあったようです。参加者の方々には、エコツーリズムを通じて、日常では得られない体験をし、感じて頂くことができたかと思っております。(了)
                                                       記:大島 嵩弘



 

2015/10/30-31

宮島・似島エコツアー


 10月31日~11月2日の2泊3日で、瀬戸内海国立公園である宮島と似島を舞台とした滞在型エコツアーを開催しました。

 初日は広島港からフェリーで似島に渡り、海岸線のトレッキング・戦争の歴史遺跡散策・海釣り体験を行いました。
海岸トレッキングでは、島の海岸沿いに生育している植物を約6km歩いて観察しました。食べられる・食べられないを基準とした植物観察では、実際に植物を手に取ってもらい、葉・つる・幹等の特徴を説明しつつ、味覚や匂いで覚えてもらう努力をしました。


 

 植物観察に続き、似島に在住している島民の方にガイドをしてもらいながらの約5kmの遺構巡り。日露戦争~日清戦争~第一次世界大戦~第二次世界大戦と続く痛ましい戦争の遺構を、当時の記憶やお爺さんお婆さんに聞いた話を織り交ぜながら話されるガイドさんの話に、参加者の皆さんも熱心に耳を傾けながら、改めて平和について考えることができました。


 

 夕方、少々歩き疲れた感はありましたが、頑張って最後のアクティビティである海釣り体験を実施。ほとんどの参加者が釣りの体験がなく、竿の仕掛けの作り方からレクチャー。準備が整い、いざ港へ。浮き釣りに挑戦しましたが、餌のごかいを針に付けられなかったり、期待とは裏腹に浮きがなかなか沈まなかったり…宮島の向うに日が落ちて、気温もぐっと下がってきました。引き潮で未だに当たりも来ない。参加者の誰もが、諦めムードになっていたその時、1人の参加者が「きたっ!!」と叫びました。ようやく釣れた魚はなんと、鯛の子どもでした。結果として、本日の釣果は鯛の子ども2匹に終わってしまいましたが、皆さん、初めての釣りを楽しんでくれました。


 

 2日目は、チャーター船を用意して、広島湾を横断しながら宮島へ。宮島では、七浦巡りを行いながら、腰細浦及び青海苔浜に上陸し、潮間帯生物の観察・トレッキング・思い思いのスケッチなどを楽しみました。
 腰細浦での潮間帯生物観察では、岩場の生息環境を説明しながら、マガキ、スガイ、イシダタミガイ、カメノテ等の様々な生き物を手に触れ観察してもらいました。
 昼食は、宮島名物のアナゴ弁当とサザエのつぼ焼き、そして、味噌汁を添えて。太陽の下で、広々とした空間の中で、皆さん大満足の笑顔でした。


 

 昼食後は、再び乗船し、青海苔浜へ。ここでも小舟に乗り換えて上陸。海浜植物の観察や澄んだ小川に沿って、ジャングルのような密林に分け入りました。
 この場所は、ハマゴウと呼ばれる海浜植物が砂浜一面に自生しています。夏は、可憐な紫色の花を咲かせますが、季節は秋…この時期は、香り高い小さな実を付けています。この実には、安眠効果があり、昔はお香や線香にも使用され、リラクゼーション効果が抜群です。
 青海苔浜を流れる小川のトレッキングでは、美味しい水を求めて、密林の中を上へ上へと分け入りました。冒険心が沸くような雰囲気の中、苦労した末に飲んだ水は、とても美味しく感じられたと思います。


 

 最後に休憩も兼ねて、スケッチブックをお渡しし、のんびりと自分が感じた風景を写生していただきました。浜に打ち寄せる波の音を聞きながらスケッチを行っていると、何とも穏やかな雰囲気に包まれ、ゆっくりとしたひと時を過ごすことができました。


 

 さて、青海苔浜でのアクティビティを終え、一行は再び七浦巡りを再開。
七浦巡りとは、宮島の周囲に点在する7つの神社を時計回りに参拝し、最後に厳島神社を参拝するという習わしです。今回のツアーでは、チャーター船で7つの神社を巡った後、厳島神社の大鳥居の前で記念撮影を行いました。宮島学に精通したガイドの方のお話を聞きながら、あまり知られていない宮島の歴史や文化について知識を深めることができました。


 

 七浦巡りを無事終了し、一行は鳥居近くの桟橋で下船。引き続きガイドの方の案内で、まずは、毛利元就が厳島合戦(陶晴賢との戦い)で海岸線まで突き出た尾根に築いた宮の尾城跡に登りました。そこからの宮島町屋の展望は抜群。厳島合戦のお話を聞きながら、16世紀半ばの時代に思いを馳せます。
 その後、町屋に降りて、古民家やお寺の生活習慣に触れながら、散策を行いました。皆さん、昔ながらの情緒溢れる裏道を歩き、宮島の歴史と文化についてとても興味を示していました。


 

 エコツアーも最終日。平時に当たってしまったため、学校や仕事の関係で参加者は少し減ってしまい、また、天候も雨のち曇り…正直、若干モチベートが下がりつつも、気を取り直して、宮島の紅葉谷を散策しました。紅葉谷はこの時期になると多くの観光客で賑います。時期的に若干早いかと思いましたが、森全体が緑から赤や黄に変化する景色を堪能することができました。紅葉は赤色に色づいてとても風情がありました。


 

 

 

そして、ツアーも終わる頃には、天候が一気に回復し、見事な厳島神社の鳥居に手を合わして解散となりました。

 

 今回の2泊3日のツアーでは天気にも恵まれ、参加者の方々に様々な体験をして頂くことができました。多くの自然と触れ合い、その地の歴史・文化について体感していただけたのではないかと思っています。

 

 今後も瀬戸内海の様々な場所でエコツアーを開催したいと思っています。自然や歴史・文化を体感してみたい、学んでみたいと思っていただけた方は、是非とも次のツアーにご参加いただけると幸いです。

                                      記:大島 嵩弘


 

2015/08/15

似島資源量調査 

 

今回新たなエコツアーコンテンツを探しに、8月15日に似島へ資源量調査を行ってきました。

似島は、広島市南区似島町に属する人口約1000人の島です。

歴史としては、第二次世界大戦終了直後まで陸軍の似島検疫所が置かれており、現在でも当時の軍事施設の遺構が残っています。日露戦争、第一次世界大戦当時は検疫所内に捕虜収容所も併設されており、第一次大戦時に収容されていたドイツ人捕虜カール・ユーハイムが、収容中に日本初のバウムクーヘンを焼いたというエピソードがあり、日本におけるバウムクーヘン発祥の地とも言われています。

似島には、“安芸小富士”(標高278m)という山があります。形が富士山に似ていることから名付けられたそうです。

ということで・・・・島について早速“安芸小富士トレッキング”を行いました。


 

 はじめは快調な進みだしで足取りも軽く順調でしたが・・・・

当日は真夏の日差しが容赦なく我々に照り付け、気温も32℃

時折休憩を取りながら、なんとか頂上へ到着!!

頂上からは瀬戸内海の風景と広島の町を一望することができました。登った苦労を忘れさせる景色でした。


 

しかし、真夏の登山は辛い!真夏の登山の厳しさを改めて感じました。

 

下山し昼食をとることになりましたが、島に唯一あった食堂が潰れており、またお盆ということもありお弁当もありませんでした。結局商店で、パンとインスタント焼きそばを購入し昼食を取りました。トレッキングでお腹もペコペコだったこともあり、とても美味しく食べることができました。

 

午後からは、遺跡を巡る調査を行いました。
戦争跡地や災害被災地の遺跡を巡ることを“ダークツーリズム”といいます。
瀬戸エコ協のエコツーリズムでは、その島の自然・歴史・文化を感じ・体感してもらうことをコンテンツとしております。
似島を知るためには、この歴史を知ることが重要です。
島の所々に遺跡があり、確認できるところを順次見てまわりました。


 

 また、広島市似島臨海少年自然の家では、平和学習活動を行っているとのことで、お話を伺いました。その際この遺跡(歴史)について、9/25~9/27に予定しているエコツアーで語って頂く方もご紹介頂けることとなりました。


夕方、帰りのフェリーの時間まで少し余裕があったため、海辺の観察を行いました。
漂着ゴミや潮間帯生物を確認しました。


 

 似島ではエコツアーを行えるコンテンツを色々と見つけることが出来ました。今後このコンテンツどうエコツーリズムに生かすか検討していきます。

藤元彰士

 


 

2015/08/05

木原小学校 ~周防大島自然体験ツアー 

 

 8月5日(火曜日)に、三原市立木原小学校の5・6年生の生徒12名と周防大島のスナメリとニホンアワサンゴの観察を行ってきました。

 スナメリ観察では、久賀~前島航路を利用しました。当協議会では、久賀~前島航路間のスナメリ目撃情報を集計しており、7月も多くの目撃情報があります。本ツアーでは、目撃情報が多い航路を選定しました。

 

 結果は・・・・・・

 スナメリを見ることが出来ました!

 

 しかも、1頭ではなくおよそ10頭のスナメリを見ることが出来ました。中にはスナメリの親子も見ることができ、生徒たちは大喜びでした。はじめは生徒たちにスナメリを見せることができるか不安もありましたが、見せることができ本当に良かったです。


 

その後、なぎさ水族館のタッチングプール体験を行いました。
タコ・タイ・ヒトデ・なんとサメまでも触れることができ、生徒さんたちは大はしゃぎ‼


 

続いて、“NPO法人自然と釣りのネットワーク”の藤本さんを講師に迎え、
ニホンアワサンゴの観察を行いました。
観察は、水中の様子をダイバーに撮影してもらい、その映像を生徒たちに見てもらいました。普段見ることができない海の中の様子やニホンアワサンゴを食い入るように見ていました。


 

今回の自然体験ツアーでは、スナメリ・ニホンアワサンゴを観察し、生徒さんたちの喜悦の笑顔を見ることができました。生徒たちの心に残る体験を提供できたことに、当協議会としても満足しております。

藤元 彰士

 


 

2015/07/14

三原市立木原小学校での無人島生物観察

 

 

7/14に三原市立木原小学校の5,6年生の生徒と鯨島の潮間帯生物の観察を行ってきました。

 
現在、木原小学校では「スナメリプロジェクト」を実施しています。
このスナメリプロジェクトは、緑化や自然体験などの環境学習活動の実践を通じて、自然環境の保全と改善について子ども達の意識向上を図ることを目的としています。


今回はその一環として、瀬戸内海エコツーリズム協議会と木原小学校で鯨島の資源量調査を行いました。

鯨島は2つの島が並んでおり、本土から見ると鯨のように見える事から鯨島と呼ばれています。現在は無人島化した島となっております。鯨島では多くの潮間帯生物や海辺の植物、鳥類等を観察しました。

 


子ども達は見たことがある生物や初めて見る生物にとても興味を持っており、その探求心には大変驚かされました。
私も子ども達の元気さに負けないよう頑張りたいと思います!

 

次回は8/5に周防大島でのスナメリウォッチング及び二ホンアワサンゴ見学を予定しております。


子ども達が野生のスナメリに出会えることを期待しています。

 

                     事務局 大島 嵩弘


 

2015/05/04

瀬戸内海の無人島化問題を考え、八島を踏査!!

 

5/4、ゴールデンウィーク真っ只中に八島(山口県熊毛郡上関町)に行ってきました。
八島には25名の高齢者が住んでおり、限界集落の域に達しております。このまま放置しておくと、あと数年で無人島になってしまう可能性が十分に考えられます。エコツアーを通じてその無人島化を阻止するため、島を踏査し、島の方と意見を交わしてきました。

午前中はあいにくの天候でした。船で島を一周し、島の可能性を確認してきました。島の北部には、穏やかな小さな湾が広がり、その陸上部には塩生植物が自生しておりました。自生している塩生植物の中に、ピンク色をしたアサヒルガオがぽつぽつと咲いておりまた。雨の中、少し安らぎを覚えた瞬間です。

 

 

南部には、地層が放射状にくっきりと広がった断崖が壮大な景観を構成していました。八島の自然のダイナミックさを実感できました。踏査後、島の方と意見交換を行いました。島外から来た我々には素晴らしい資源と感じるものでも、島の方には日常的なものであり、そのものの価値の評価についてギャップを感じました。これからも引き続き、八島の魅力について意見交換を行う必要があります。

 

午後には天候も回復したので、集落の散策を行いました。家主を失った家は、自然に戻ろうと朽ちておりました。少し、侘しさを感じました。

 

これが八島の現状です。この状況を受け止め、理解したうえで、八島の魅力を発信できる方法を考えていく必要があります。瀬戸内海の無人島化問題、これを阻止する第一歩としてなんとか島の方と一緒に方法論を考え、実施して行きたいと痛感いたしました。

 

                                                                                                 事務局 富田智


 

2015/01/21

エコツーリズム大賞特別賞受賞

 

 

 この度、環境省とNPO法人日本エコツーリズム協会が主催する~第10回エコツーリズム大賞~において、一般社団法人 瀬戸内海エコツーリズム協議会が“特別賞”を頂くこととなりました。

 

 その授賞式が1月21日に東京の千代田区立日比谷図書文化館で行われ、上嶋理事長、田中事務局長、私(藤元)の3人で授賞式に参加してきました。今回の受賞団体は大賞1団体、優秀賞3団体、特別賞5団体でした。


詳しい内容については、日本エコツーリズム協会のホームページをご覧ください。(こちらの文字を↑クリックしてください。)

 

 

 

 

 瀬戸エコ協としては、ようやく協議会の活動が認められ大きな励みとなっております。この賞を受賞することができたのは、我々だけではなく、協議会等の活動にご協力してくださった皆様のおかげでもあります。心より感謝申し上げます。


 これからも瀬戸内海のエコツーリズム活動に励んでいきますので、宜しくお願い致します。

                                                     事務局 藤元彰士